架空座談
A おう、ひさしぶり。
B そうだね。何年ぶりかな?
C もう、3年はなるよ。
A もう、そんなになるのか。
C だいたい、そうだね。
B でも、ひさしぶりに会ってもお互いあまり変わらないね。
A いつもここで会って、この椅子にすわって喋っていたな。
B まあ、ここが一番安心するからね。
C というより、俺たちあまり金がないから、いつも手持ちの飲み物食い物を持って、この席を指定席にしているんだからね。
A まあ、そういわず、指定席なのだから、特別だと思って座ればかなりいけるんじゃない。
B つつと言うか。誰も座らない指定席は特別仕立てだよ。
C まあ、価値あるものと思えば何でも特別だから、指定したほうが得だよ。
A 言えてる。
B 俺たちも、なかなか会えないのに、たまに会うのは相当に大物気分でいいんじゃない。
C そうだよ。特別だよ。俺たち三人が集まるのは、三年ぶりで、アメリカとロシアと中国の首脳陣レベルの会談並みだと思う。
A じゃ、話の内容も相当に高度な地球レベルの核戦争について話そうよ。
C なんか、大きくでたね。
A いつも、なんとなく考えていたからね。
A 北朝鮮が、核をもったことによってアメリカと対等に話ができるようになったのは相当に現代的な国際問題だよ。
B 対等に話し合いをしているのか、おもちゃの兵隊をつれて、おまけに核弾道ミサイルを飛ばすぞと、威嚇しながらの対話だから、なんだか似たもの同士の「ロケットマン」の仲良しごっこに見えるな。
C そうは言っても、実際に(核)兵器を飛ばす実力は確実に進歩しているから危険ではあるよ。
A 不思議だよ。
C 北朝鮮という小さな国が大国アメリカと対等な対話(漫談)ができるという関係が現代的だと思うよ。
A お互い世界のメディアを意識してのパフォーマンスだから、情報戦によって地球が小さくなったことの証左でもあるね。
C 核爆弾という最終兵器を武器にして外交を展開することも居直り強盗的外交(瀬戸際外交とも言うそうだ)で現代的だよ。
A でもアメリカだって日本に対しては核兵器をバックに砲艦外交をくりかえしていることは明白だから、似た者同士だよ。
B でも今世界で保有されている核爆弾は、地球を何千回も破壊するほどの威力をもっているという事実は、人類は相当に変わった動物であることが証明されているね。
C そう、核兵器の問題は人類の内面(細胞核)の問題だと思うよ。
B ガン細胞は自己を根拠にしながらでも自己を無限に破壊し続けるという矛盾の中にある。人類が発明した核爆弾も地球という故郷を無限破壊するという夢を見ているのかもしれない。
A 俺たち人類もそろろ最終段階に来ているのかもしれない。
B そうだよ。人類のいないすっきりした風景が椅子三脚で決まりかもしれない。
C 椅子三脚に人はなし、か?
ボンと小さな音が遠くから聞こえる。
頭上に雲のような地球の縁のようなもがおいかぶさる。
・・・
・・・
・・・
・・・・
地球のない宇宙空間に巨大なスクリーンが映し出される。
次のテロップが銀河のように流れる。
20XX X月X日
ここにはかつて地球という惑星があった。
その痕跡をキネンしてここに記す。
(現在の核爆弾の総威力でも地球を破壊し尽くす事はできないようです。でも・・・)
「参 照
世界の核兵器保有数ランキング2018
(順位/国名/核兵器保有数)
1位 ロシア 6,850
2位 アメリカ 6,450
3位 フランス 300
4位 中国 280
5位 イギリス 215
6位 パキスタン 140-150
7位 インド 130-140
8位 イスラエル 80
9位 北朝鮮 10-20
〔合計〕 14,465 」
(「世界のランキング」より)