ショットなストーリー

一枚の写真から浮かぶショートストーリー

明けもどろの花が咲いた

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2020年 遅れ初日の出

 

 2020年、早朝6時10分。

 突然携帯電話のアラームが鳴った。

 外はまだ暗い。東の海を臨むと厚い雲がかかっているように見える。初日の出は拝めないだろうと思った。

 7時ごろになると分厚い雲が白く輝いてくる。

 8時を過ぎるころから雲が隙間をつくり始めた。その隙間からあふれんばかりの太陽の光がもれてくる。

 時間遅れの日の出を見た。

 雲間から明けもどろの花が咲いている。

 古琉球時代の太陽を讃えた神歌(オモロ)が思い浮かぶ。

 
 
 一 天に鳴響む大主

    明けもどろの花

    咲い渡り

    あれよ 見れよ

    清らやよ

  又 地天鳴響む大主

    明けもどろの花の 

  (歌意)

    天地に鳴り轟く大主よ。

    明けもどろの花が咲き渡っていくようである。

    あれ、見ろ。

    なんど美しく雄大なことよ。

      (『おもろさうし』第十三

       うちいではあがるゑとの節 岩波文庫より)

    明けもどろの花 

      太陽が水平線から昇る瞬間に放射する多彩な光の渦