ピンクの城門
公園の階段は赤、ピンク、緑のセメント丸椅子が並び、ピンク色の壁門が段々じょうに延びている。
一匹のサルがピョンと壁門からセメント丸椅子へ飛び跳ねて、空に飛んでいった。
空にはたくさんのサルが浮かんでいる。
足をバタバタさせ、手を水平に広げ、立ち泳ぎのように浮び踊っている。
サルの群れの飛行ダンス。
サルの一匹がピンクの壁門をスーッと低飛行して潜り抜け、地上に降りたった。
ネコがビックリひっくり返り、犬はクンクン鼻をのばして自分の尻尾を追う。
鳩は羽をパタパタ、目玉をグルグル(声もグルッツグル)させ、チョウチョはいつものようにヒラヒラ、優雅に知らんぷり。
公園で遊ぶこどもがサルの後を追う。
こどもに捕まるようじゃ烏帽子の猿回しザル。そんなサルじゃごザルまい、地上から木へ、木から空へと三段飛行はまるでクモ糸なしのスパイダーマン。
いや、スパイダーモンキーはマスクいらずの空中フライモンキー。
動物園からサルが逃げ出して30年。
人間のエサだまし捕獲作戦にも屈せず、地上から木へと飛び移り、途中の手足の動きを工夫して、空気抵抗をうまくコントロールし空へと飛びあがった。
ピンクの城門、サルスベリ飛行台。
サルに三本毛が生えず、手足に飛膜が生え、100m飛行ができるまでになった。
サルから跳びザルへの大進化だ。
丘の上の木のある公園は跳びザル最適環境居住地。
ここはサル山公園王国。