ショットなストーリー

一枚の写真から浮かぶショートストーリー

三角食堂

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三角食堂

 とある町の三叉路の角地に小さな食堂がある。

 二つの車道に囲まれた食堂は瓦屋根の二階建(一部が二階)の一階部分に大きな看板が掲げられている。

「三角食堂」

 地形に由来するであろう食堂名ははシンプルで一直線(三角形)である。

 ・・・

 その中に入るとテーブル席が六つある。

 壁に掛かった大きな三角形の時計が三時を打っている。

 メニューを見ると、三角おにぎりを始め、おでん、サンドイッチと三角形料理をはじめ、さらには三角ソバ、三角ステーキ、三角オムライスとすべてのメニューが三角形の形をした料理になっている。

 食器もまた三角形で、三角お皿に、ごはん・汁椀も三角形である。コップも三角形である。

 箸は先が三角形(先っぽが少し丸め)で、フォークも先が三つ又逆三角形でスプーンも丸みをおびた三角形である

 備えられた調味料(コショー、醤油など)も三角形の器に入っている。

 むろん、テーブルも三角形だった。三角地の頭に合わせてテーブル一つ、次の列はテーブルが二つ、そして最後の列はテーブルが三つと、三角形のピラミッド列となっている。

 とすると、このテーブルは三人までしか腰掛けることができないのだ。

 三角形の店内に合わせて空間をうまく活用するためにテーブルが三角形になったのだろう。椅子も三角形だ。しかし、それにしても料理品も三角形にしたのはどういうわけだろう。

 店主は言う。

「料理とは『生もの』『火にかけたもの』『腐ったもの』に分類できるととフランスの哲学者は言っています。料理の三角形ですね。私の店はまさにその三角形をいろいろアレンジ(煮たり、焼いたり、燻したり)して出しているので、料理の形もまた三角形にして出したのです。その方が食べやすくおいしいですよ」

 おむすび頭とおむすび体形の三角(みすみ)三郎さんは言った。

 僕はさっそく、三角お皿に盛られた三角オムライスを三角スプーンで食べてみた。

 それは、本当に食べやすくおいしかった。

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 ・・・

 僕はそんな白日夢を見た。